カベジマ研究所2

Legasyswareのゲーム開発と日常をゆるく適当に綴っていくブログ

ダライアス

ダライアスタイトーが1985年に発売した業務用の専用筐体を用いたゲームで
画面は横方向に3つのモニターを接続すると言う荒業を用いたワイドスクリーン
更にはプレイヤーが座るシート下にはボディソニック機能が搭載されており
タイトーサウンドクリエイターであった小倉氏によるBGMをより迫力ある形で
楽しむことが出来た。


ビジュアルも特徴的で敵の大型戦艦は全て海洋生物がモチーフとなっており
その描写の細かさとデッサンの正確さ、そしてデザインの美しさは同時代の
他社作品を遥かに凌ぐものであった。


だから・・・ダライアスは当然の如く伝説となり、
今でも据え置き型ゲーム機に移植版が登場するなどその熱狂は冷めぬのであるが
自分にとっては当時の数あるゲームの一つに過ぎない。


ダライアス登場時にはマイコンベーシックマガジンなどでも紹介記事が掲載され
自分もそこで始めてこのゲームのことを知ったのだが、その時に感じたことは
オレンジがかった黄色のバックのポスターに描かれているメカのアンモナイト
かっこいいなと言う程度でしかなかった。


自分はこの頃から既にシューティングゲームに大きく傾倒していて、生意気なことに
ゲームの何たるかを心の内に蓄えていたのだが、とにかく大型の専用筐体で
横スクロールシューティングを遊ぶということに対しては懐疑的であった。


迫力あるボスのグラフィックも「とは言えこれは張り付いて動かない絵なのだろう」
などと言うくらいにしか思ってはおらず、自分がゲームとして期待する部分は
さして無かったと記憶している。


だがしかし新作アーケードゲームであればチャレンジしないわけにはいかない、
しかもそれがシューティングならば尚更だ。


ダライアスを最初にプレイしたのは確か遠征先のナムコランドだった筈だ。
「新登場」のポップが貼られたその筐体は想像以上に大きく存在感があり、
アドバタイズをONにした筐体はまるで地響きのような音を立てその前を通る者を
威嚇していた。


1プレイは100円。当時ビデオゲームは1プレイ50円が主流だった。
全てのゲームが1プレイ100円の店舗もあったが流行ってはいなかった。


コクピットタイプのレースゲームが100円なのは比較的納得出来る。
だが専用筐体とは言え、横スクロールシューティングに100円を払うなんて
さすがに高過ぎるのではないか?そう思わずにいられなかった。


案の定、新登場のゲームにも拘らず暫く見ていても誰もプレイする者はいない。


しかし意を決してコインを投入するとびっくりするような大きな音が鳴り
シートが振動しゲームは開始した。そして・・・ものの数10秒でGAME OVERの
表示に変った。


これは・・・なんだったのだろう?


それ以降ダライアスをプレイすることは無かった。
暫く経ってまた同じゲームセンターを訪れた時にはダライアスは無音になっていた。
アドバタイズは切られ、ゲーム中のサウンドボリュームも下げられ、
そしてやはり誰もプレイしていなかった。


ゲーメストでは特集や攻略記事などが掲載されていたが全く興味が出なかった。
ドリルミサイルで稼ぎ・・・など言われてもスコアラーでない自分の食指は動かない。


ただサウンドトラックは買って聴いていた。
タイトーサウンドチップの奏でる音が好きだったしOGR氏の曲も好きだったが
その当時はダライアスにそこまで魅かれるものはなかった。
ダライアスとは全くカラーの異なるグラディウスや沙羅漫蛇に夢中だったからだ。


ダライアスとは違い普通のビデオ筐体で遊べ、しかも料金はダライアスよりも安い。
難易度もそこそこで普通に1周クリアは出来る。
渋いダライアスの世界観よりも元気なグラディウスサウンドに魅了されていた。


それから数年が経過しPCエンジン向けにスーパーダライアスが発売された頃に
ダライアスに対する考えが変った。


友人にPCエンジンCDロムロムを買ったのだがソフトは何を選べばよいかと聞かれ、
既にバリバリのメガドライバーであった為にPCエンジンの知識が無い自分は
スーパーダライアスしか思い浮かばず、半ばやぶれかぶれでそう答えたのだが、
後日その友人は「スーパーダライアス凄い、音とかめちゃめちゃ迫力がある!!」
などと大絶賛しており・・・硬派なアーケードゲームなど絶対に遊ばなさそうな彼が
こんなに喜ぶなんて、もしかしてダライアスは・・・実は面白いのではないか?


改めてサウンドトラックを聴いてみるとコナミゲームの様なノリノリな曲のない
ダライアスにはダークで突き刺さるような曲が多く、登場から4、5年経って
改めてダライアスサウンドにハマる結果となった。


だが、結局ゲームに対する評価は今に到るまで特に変ってはいない。


ダライアスは近所のゲームセンターにも設置されていて、可動から数年が経過して
1プレイが30円になっていた。


30円だからプレイしてみようかと何度も挑戦するのだが何度プレイしても
全く先に進めないのだ。


その原因はやはり3画面にある。
コクピット筐体であるが故にプレイ時の画面はかなり近い。
(実際はハーフミラーである為にモニター設置位置は少し奥まっている)


画面が横に長いためにプレイ中は眼球を横方向に大きく動かさなければならず、
非常に目が疲れる。


通常のシューティングゲームのように画面全体を俯瞰してプレイすることが出来ないので
自分のような短時間に全集中力をプレイに向けるようなスタイルの人間には厳しい。


ボスの弾の発射を目で追っているうちにやられてしまう。
しかもゲーム自体がこの筐体に都合の良いように再構成されている節があり、
つまりは始めに3画面筐体ありきの企画だったのではないかと窺える。


3画面・専用筐体であるが故に横方向に巨大なボスキャラを登場させることができ、
迫力ある背景アートを挿入することができ、当時としては豪華なサウンドも実装出来た。


それはそれで価値があると思う。
初代ダライアスのメカ群は今見ても格好良いし曲も素晴らしい。


だが、攻撃対象が横に長いということはシューティングゲームにおいては
あまり歓迎できることではない。


R-TYPEの戦艦ステージを思い浮かべれば分ると思うが、横画面のゲームにおいて
横に長いキャラクターは画面の占有率が非常に高い。


R-TYPEの場合は戦艦はボスキャラクターというよりは上下する背景でしかないので
敵弾も上を通り抜けない為、機体が接触しないように注意してさえいればいいが


ダライアスのボスはそれ自体が破壊すべきターゲットであり、
もし1画面であったとしたらゲームとしては成立しないレベルだ。


だから当時コンシューマーに移植された際には難易度の再調整が行なわれている。
それでも他の横スクロールシューティングと比べると遊びにくい部分がある。


しかしそれでもダライアスを好きな人は多いし自分も好きだ。
だが、ゲームとしてみた場合はもっと面白い横スクロールシューティングはあると、
そう思わずにはいられないのだ。


そんな思いも含めてダライアスは伝説なのだろう。
唯一無二。


それだけは間違いない。