カベジマ研究所2

Legasyswareのゲーム開発と日常をゆるく適当に綴っていくブログ

古典的なゲームのエッセンスを再現してみよう

皆さんこんばんわ。青嶋荒作です。


今回は久々の『ゲームのアイデア帳・初心者の為のゲームの作り方講座』ですが、
諸事情により当初予定していたものと題名・テーマを変更し、お送りいたします。


ゲームの作り方と一口に言っても使用するツールや言語など様々有ると思いますが、
ここでは毎回肝心な部分には一切触れずに、「考え方や仕組み」を考えることで
自然とゲーム作りにおけるコツやアイデアの出し方などが身に付くかも知れない
頑固だけれど頭の柔らかい記事を目指しています。


今回のテーマは『古典的なゲームのエッセンスを再現してみよう』です。


ゲームを作ろうとする場合、大概あなたは何らかの既に存在しているゲームを
イメージしていると思います。それがRPGであれ3Dシューティングであれ、
ジョイスティックやパッド、或いはマウスやキーボードなど何らかの入力機器を
介する事には間違いないだろうと思います。
(世の中には身振りだけで操作できる夢のような機械もあるそうですが)


ゲーム製作の第一歩とは、『既存のゲームの操作方法やルールを再現する』
事に有るといえるでしょう。


模倣する事はあまり良いイメージは持たれませんし、盗用・盗作など権利者の
有する権利を侵害するような事などは、もってのほかです。
ですが「レバーでキャラクターを左右に操作する」と言う仕様は普遍的な物ですし
「ボタンを押して正面に弾を発射する」と言う仕様もまた然り、です。
もしこれらを最初にゲームに採用したメーカーが権利を主張しだしたら、
・・・それは恐ろしい事になりますね。


ゲームの操作方法やルールなどは既に掘りつくされており、これまでに誰も思い
つかなかったような仕様なんてそうそうあるものではありません。


だとするならば、マリオにしろドラクエにしろ、現代の全てのゲームは必然的に
『既存のゲームの操作方法やルールを再現』しているに過ぎないことに気付くと
思います(ゲームのオリジナリティーとはその先にあるものと解釈する)。
それは模倣ではなくエッセンスの抽出なのです。全ての人において都合の良い
(但し権利者を除く)考え方ですが、そうとでも言い張らない限り前進できません。


さてそろそろ本題の『古典的なゲームのエッセンスの再現』に移りたいと思います。


今回は日本のシューティングゲームの祖である「スペースインベーダー」を
お手本として取り上げ、インベーダーゲームを一から作るとしたら、あなたが
どの様な仕組みを作る必要があるかを一緒に考えてみましょう。


先ずスペースインベーダーを作るにはどんな素材が必要でしょうか?
自機である“砲台”とその“砲弾”、砲台が身を隠せる“トーチカ”、
そして宿敵“インベーダー”と“その弾丸”が数種類、ボーナスキャラの“UFO”、
爆発パターン”や“得点表示”のエフェクト、そして“スコアボード”や
残機数表示”などのインフォメーションの類・・・。


これらを全て始めから揃えておく必要はありませんが、必ず必要になりますから
用意する心構えだけは予め持っておきましょう。


砲台と砲弾は簡単にプログラムできると思います。トーチカは破損の状況を
どの様に表現するか(被弾部分のピクセル消去orドット絵の書き換え)により
難度が変わりますが固定物ですので問題ないと思います。



問題はやはり“インベーダーの動き”でしょう。スペースインベーダーの特徴は
やはりそのユニークな動きにあります。インベーダーが画面左右どちらかの端まで
移動すると全体が一気に一段下がると言うルールなのですが、これは同じ範囲を
キャラクターが移動しているだけでは実装できません。撃破したインベーダーの
配置されていたスペースの上を、他の残りのインベーダーが通過するように
組まなければ再現できません。この仕様こそがスペースインベーダー特有の
エッセンスなのです。


具体的に説明するとインベーダーの動作は
“規定時間ごとに右、または左に規定のピクセル数分インベーダーを移動”
“予め決められたX座標に何れかのインベーダーが到達したら一段下がる”
この2つだけです(同時にアニメの書き換え、音の再生と進行方向の反転)。


非常に簡単ですが・・・シンプル且つ美しい、全く無駄の無い素晴らしい
イデア・仕様だと思います。


勿論このような仕様になった理由に容量や処理速度と言ったマシン的な
理由もあったのでしょうが、そのような現実問題と直面しながら生まれた
仕様ですから、説得力も十二分にあります。


その他の仕様には、残機数が残っていてもインベーダーが地上に接地したら
ゲームオーバー、弾は最下段のインベーダーの1キャラ分下から発射されている
・・・などがありますが、これらは特に触れずとも良いでしょう。


古典的なゲームの仕様やルールを一つ一つ分析してみる、そしてその
エッセンス部分を自分で再現してみる。これもまた習熟への近道でしょう。
但し、再現したものはあくまでも再現でしかないと言うこともお忘れなく。
エッセンスを如何に自分のオリジナルへと昇華させるか・・・それもまた、
あなた自身が取り組んでいくべき課題であります。挑戦してみてください。


それではゲームのアイデア帳、今回はこの辺で。



余禄。


アクセス解析の検索単語に「インベーダー 作り方」があったために
今回の記事は企画されました。


当初は記事の内容に沿い、実際にLegasyswareで作成したインベーダー風の
ゲームと、MMF2で作成したmfaを公開する予定でしたが株式会社タイトー様に
事前に確認しました所、やはり配信は差し控えて欲しいとの事でしたので、
残念ですがゲームの配布は諦め、記事の内容も変更しました。


企業としての立場上、模倣品・類似品を許諾出来る筈は無いのも当然です。
ですが、「何処までならば似ていても良いのか?」と言う議論は今後も
ゲーム業界全体として付き纏う事案であるとも考えますので、タイトー
回答からの引用はありませんが最後にその旨、記載させていただきました。


ご回答くださったタイトー広報部の方、ありがとうございました。


※追記:aREC BlueStripesのアーティストページにて、今回の企画用に
作成した幻のゲームのサウンドトラックをダウンロードいただけます。
雰囲気だけでも是非味わってみてください。