カベジマ研究所2

Legasyswareのゲーム開発と日常をゆるく適当に綴っていくブログ

折れた枝

庭の植え木の枝が折れた。


深夜2時ごろ、そろそろ寝ようかと歯磨きしに部屋を出て
洗面台の前に立った直後・・・窓の直ぐ向こうで何の予告も無く
ドカンと大きな音がした。


直ぐに明りを付け気配を伺ったが壁一つ隔てたその先は無音。
さてどうしようかと少し迷ったが特に武装もせずそのままの格好で
普通にドアの外に出た。


もし不審者がいてもよほどの体格差がない限りは押さえ込めるだろうと
何の根拠も無く暗がりに入っていくと予想外のことが起きていた。


庭木の枝が先を地に向けて壁に向かってしなっていた。


これはどういうことなのか・・・?


周囲に人の気配(隣の家の明りは付いていたが声はしていない)は無い。


辺りは暗く地面も良く見えない。
調査は夜が明けてからすることにして、その晩はそのまま寝てしまった。


次の朝、表に出てみると枝は相変わらず壁にもたれかかっていた。
それとは別に折れた枝が落ちていた。夕べの音の発生源はこれのようだ。


ただ、何故折れたのか?それはまるで掴めない。


地面に足跡が無いか探してみたが特に不審な形跡は見つからなかった。
折れた枝の付いていた木はかなりの高さがあり、人がジャンプしても
手が届くような位置ではない。


木によじ登るにしても・・・それほど太さがあるわけでもなく、
むしろ人がしがみついたならばその重みで傾くか、根元から倒れるだろう。


地面にこれと言った足跡なども無く夜中に木を上るガサガサ音や
木から降りるバサバサ音もしなかったことを考えるとよじ登った可能性は
低そうだ。


なにより直ぐそばに脚立が立てかけてある。
脚立を使えば木をよじ登らずとも楽に枝を折れるはずだ。


脚立は夕べ外に出たときにはいつも通り壁に立てかけてあった。
もし脚立を使ったのであれば、木から降りて直ぐにそれを2つに畳み、
元の壁に戻した上で人が来る前に逃げなければならないわけで
音も立てずに短時間でそれを片付けたのだとすれば相当の手際の良さ、
そして深夜帯と言うことで周囲への気配りも上手。


壁にもたれかかっている枝を戻すのも兼ね、試しにその場に脚立を開いてみた。
直ぐ脇に排水溝があり地面が柔らかくなっていて・・・脚立に登ると地面に
脚立の足が沈み込んでしまった。


もしこの脚立が使われたのだとしたら・・・確実に痕跡が残る。
つまりは脚立は使われなかったのだ。


人間が枝を折った可能性はかなり低くなった。
何か特殊な道具を使った可能性も考えられなくはないが直後に自分で
確かめに行っているので、その時の印象からすればやはりなさそうだ。


だとすれば動物だろうか?
少し離れた地面には猫か何かの動物の爪のある足跡が残っていた。
だが、それと枝とを結びつける根拠は全くない。
そもそもうちは猫を飼っているし夜中は外に出さない。


屋根から木に飛び移った野生動物がしくじって落下し、枝を折ったというのも
なくはないがこれも根拠はない。


そもそも枝を折るだけでなく壁に向かって折り曲げることが出来るような
動物はニホンザルであるとかそれなりの体格と体重、そして木登りが得意なはずで
そしてうちの辺りにはニホンザルは生息していない。


枝がたわんだ時のエネルギーで木がねじれて自然に折れた可能性もあるが、
夕べは風も吹いていなかったし折れた枝は枯れ枝ではなく破断面にも痕跡はない。


となると後は・・・航空機からの落下物か隕石が衝突でもしただろうか?
枝の折れた木の直ぐ下の地面にはほんの少し何かが落ちた跡が残っていた。


調査を開始して直ぐに気付きそこを掘ってみたのだが金属製の部品も
隕石のかけらも何も出てこなかったしそもそも何かが深くめり込んだような
痕跡もなかった。


土中には普通に植物の根が張っていて園芸ショベルが軽く引っかかる。
根が切れているようなこともなかった。


落ちてきたのは航空機から剥がれ落ちた氷の塊で朝には溶けてしまった
・・・と言うことはあるかもしれないが夜中に懐中電灯で確認しなかったので
今更証明する手段はない。


謎だ。全く解らない。


仮に人間が意図的にやったことだとして、では何の為に?
夜中に酔っ払いでも侵入してきたのか?或いは誰かの嫌がらせ?


そういったことも心当たりがない。


もの凄くモヤモヤする。


折れた枝には濃い紫の小さなつぼみが沢山付いていて、
一先ずその枝の何輪かを花瓶に飾った・・・意外と見栄えがした。