カベジマ研究所2

Legasyswareのゲーム開発と日常をゆるく適当に綴っていくブログ

ドンキーコング

ところで知っているか?
アーケードの初代ドンキーコングは、実はすごいゲームだ。


恐らくはジャンプアクション(今で言うところのプラットフォーマ−)の
祖でありながら、このジャンルにおけるスタンダードが全て揃っている。


『ジャンプ』して障害を越えられ、『はしご』を上り下り出来て、
『動く床』に飛び乗ることが出来て、『坂道』を滑らかに移動し、
落下距離が長ければ『物理計算』により加速しミスとなる。


これが37年前の技術だ。
今のようにゲーム開発エンジンはおろか、様々なミドルウエアやアセットなどが
存在していない時代にはプログラミング技術のみが全てを形作っていたのだ。


万物の法則を知りそれらを巧みに操る者こそ、世界創造を許される。
だが、技術だけでは大衆を狂喜させるような愉快なゲームは誕生し得ない。


巨大なゴリラにさらわれた恋人を救うため、ジャンプして酒樽を飛び越え、
建築途中のビルをよじ登り、様々なトラップを回避しながら最上階目指し進み行く。


この時代の多くのゲームが『エイリアンを倒す』とか『財宝を集める』などアクションを
一つのテーマに絞り、フィールドはただ得点を積み上げるだけの盤でしかなかったものが、
ドンキーコングでは物語を演じるための舞台装置としてうまく機能しており、


たった4つのステージからなるシンプルなアクションゲームでありながらも
たちまちプレイする者を冒険の世界に引き込んでしまう。


ビデオゲームの世界にキャラクター性とプレイヤーにとって身近なバックボーンとを与え、
アスキーアートのような記号の世界の壁を突き破ったそのアイデアとデザイン性。


そしてマリオの歩行音やはしごを上り下りする時の音などキャッチーな効果音も
当時としては豪華なBGMと併せ、ゲームの魅力を何倍にも高めてくれている。


ドンキーコングには逸話が多い。
ゲームの神様と呼ばれることすらある宮本茂が中心となって開発が行なわれていたのは
誰もが知るところだろう。


未だに語り草となっているのは単にヒット作であったからだけではない。
ドンキーコングはやはり画期的なゲームだったのだ。


リスペクト・ゲーム。
誰もが知るそのゲームは優れた技術とアイデアとデザインと物語により誕生した。


単純な人真似ではなく、オリジナルたらんとしたが故の、祖にして頂点。