カベジマ研究所2

Legasyswareのゲーム開発と日常をゆるく適当に綴っていくブログ

ほどけたSTGの遺伝子(前編)

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ほどけたSTGの遺伝子

もしかしたら・・・

 

シューティングゲームほど歴史の長いゲームは存在しないかもしれない。

アナログゲームも含めればトランプや囲碁・将棋などの歴史には遠く及ばないが

ビデオゲームのジャンルとしては黎明期から今に至るまで、一度も途絶えずに

連綿と続いて来てはいる。

 

 

大ヒットしたゼビウスのゲームシステムは当時としては画期的であったが、

現代のゲームに引き継がれた要素が何かあるのかと問われればステージ末に

巨大なボスが登場する(厳密にはボスが登場するのはステージ末ではないが)

可視化された照準が存在する、難易度をプレイヤーが任意で変化させられる、

フィールドに巧みに隠されたボーナスフィーチャーを探索し、発見・回収できる

・・・などと答えられるかもしれない。

 

システム以外では美しいグラフィックスやイメージと合致する神秘的なサウンド

詳細なバックボーンの存在など、その後のゲームに引き継がれた・影響を与えた

要素は決して少なくないようにも思えるが、実は『ゼビウス』と言う名の遊びは

現在、継承する作品が存在していない。

 (3D/Gやゼビウスリザレクションは派生タイトルであり、継承者と言うよりも

ゼビウスのリメイク作品のような位置づけと解釈することとした)

 

ゼビウスは地上物と空中物とを撃ち分ける=性質の異なる障害を的確に捌いていく

・・・と言うのが遊びの根幹であるのだが、現代型のシューティングゲームばかりか

その他のジャンルにおいても『武器によってヒットする対象が異なる』ルールは

敬遠される傾向にあり、昨今では『通常当たりそうもない武器で敢えて狙う』

(つまり、全ての攻撃は全ての敵や障害物などにヒットするよう作られている)

と言うようなプレイヤー側に遊び方を委ねるタイプのゲームが好まれるようだ。

 

ゼビウスでは空中攻撃(ザッパー)にしても地上攻撃(ブラスター)にしても

連射数に制限があり、狙いを外した場合一瞬の隙を生むこととなる。

ゲームのルールそのものは非常にシンプルだがプレイには集中力を要する。 

 

・・・空中の敵と地上の敵を同時に正確に狙い撃つのは容易ではない。

地上敵を出現と同時に叩く為には予め画面上方に位置取っておく必要がある。

しかし画面上方に位置取れば、今度は空中の敵と衝突し易くなる。

そのことがゼビウスのゲームとしての難易度を押し上げる要因となっている。

 

空中敵をザッパーでパリパリ割っていく爽快感と地上敵をブラスターで正確に

狙い爆撃する達成感とは、どこか相容れぬものがあるのかもしれない。

 

ゼビウスからおよそ1年後、後のシューティングゲームの主流となるシステムを

生み出したタイトルがあった。それはスターフォースだ。

 

スターフォースではゼビウスにおいて遊びの根幹であった地上物と空中物との

撃ち分けを大胆にも廃止し、全てを同じレイヤーで撃破できるようになった。

 

スターフォースのプレイヤー機は上空を飛んでいるように見える。

なのに空中の敵に向けて発射した弾が何故か地上の敵施設にもヒットする。

 

敵もプレイヤーも地表ギリギリを飛んでいるのではと思うかもしれないが、

プレイヤーは地上物に接触せずに悠々とその上を通過することができる。

 

高低差があるにもかかわらず射線上にある地上と空中のターゲットを

同じ回の連射で攻撃できるのは本来であればおかしなことなのだが、

そこをある種有耶無耶にした結果、ゲームのテンポは格段に良くなり

地上物と空中物の捌きから解放されたプレイヤーはターゲットの補足に

より集中できるようになる・・・結果ゲームとしての中毒性は増した。

 

このことは画期的であるしゲームの進化としてはとても正しいと思う。

ゼビウスのヒット以降、巷に氾濫していた他社製のクローンゲームは

スターフォース系の隆盛と共に徐々に姿を消していくこととなった。

(背景にはキャラバンシューティングブームの影響もあっただろう)

 

 

 予想以上に長くなり、まだ書き終わらないので記事を2つに分けました。

無事書き終われば後編に続きます(更に長くなった場合中編となるかも)。