ゲームで使用される音楽についてちょっと思うところがあった。
「ゲームのラスボス戦の曲はボスの絶望的な強さを現したものよりも
勝利への希望を感じさせるものの方が好み」と言う意見を見たのだ。
そう言う考え方は解らない事では無いし、いかにも大衆的な感じ方だと
思うが正直良いことでは無いと思った。
・・・と言うのも「コンポーザーがどんな感覚で曲を作っているのか」
と言う事を無視しているからだ。
楽しい曲やノリの良い曲は皆好きだし作曲者だって当然そうだと、
思うだろう?・・・必ずしもそうでは無い。
恐ろしい敵が現れたらその恐ろしい敵=怪物の姿かたちや匂い、
或いは持っている能力や武器などが・・・『音楽』として見えるのだ。
表現者であればそれを表現したいと思うのは当然の事である。
しかして、大衆はそれをさせずに
「ラストバトルでは主題歌をバックに流して欲しい」とか、
「暗い曲は嫌い」「煩い曲は邪魔」「不安になる様な音を使わないで」
・・・など、表現者たちの出鼻を挫くのだ。
「自分にはこう言う世界が見え、こう言うものを感じ、
それを音にすることが出来るのにそれをさせて貰えない」
と言うのはコンポーザーにとっては苦痛だ。
ノリの良い曲や楽しい曲、美しい曲を作る事は楽しいが、
それはそう言うシーンを思い描けばこそ。
いや、この作品にはそんなシーンしか無いのですよ・・・
もしそんな事を言われたら地獄だ。
光あるところ影あり。
光にしか用の無い世界は様々な物を見てみぬ振りして上辺だけを
有り難がる偽りの国だと思う。
勿論人それぞれ、聴衆も作曲者もひとりひとりで考え方は違うし
作品のテーマにも寄るだろうけれど。