カベジマ研究所2

Legasyswareのゲーム開発と日常をゆるく適当に綴っていくブログ

影を聞かずして何を聴く

ゲームで使用される音楽についてちょっと思うところがあった。

 

「ゲームのラスボス戦の曲はボスの絶望的な強さを現したものよりも

勝利への希望を感じさせるものの方が好み」と言う意見を見たのだ。

 

そう言う考え方は解らない事では無いし、いかにも大衆的な感じ方だと

思うが正直良いことでは無いと思った。

 

・・・と言うのも「コンポーザーがどんな感覚で曲を作っているのか」

と言う事を無視しているからだ。

 

楽しい曲やノリの良い曲は皆好きだし作曲者だって当然そうだと、

思うだろう?・・・必ずしもそうでは無い。

 

恐ろしい敵が現れたらその恐ろしい敵=怪物の姿かたちや匂い、

或いは持っている能力や武器などが・・・『音楽』として見えるのだ。

表現者であればそれを表現したいと思うのは当然の事である。

 

しかして、大衆はそれをさせずに

「ラストバトルでは主題歌をバックに流して欲しい」とか、

「暗い曲は嫌い」「煩い曲は邪魔」「不安になる様な音を使わないで」

・・・など、表現者たちの出鼻を挫くのだ。

 

「自分にはこう言う世界が見え、こう言うものを感じ、

それを音にすることが出来るのにそれをさせて貰えない」

と言うのはコンポーザーにとっては苦痛だ。

 

ノリの良い曲や楽しい曲、美しい曲を作る事は楽しいが、

それはそう言うシーンを思い描けばこそ。

 

いや、この作品にはそんなシーンしか無いのですよ・・・

もしそんな事を言われたら地獄だ。

 

光あるところ影あり。

 

光にしか用の無い世界は様々な物を見てみぬ振りして上辺だけを

有り難がる偽りの国だと思う。

 

勿論人それぞれ、聴衆も作曲者もひとりひとりで考え方は違うし

作品のテーマにも寄るだろうけれど。

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