カベジマ研究所2

Legasyswareのゲーム開発と日常をゆるく適当に綴っていくブログ

バルーンファイト

自分には「いつかこんなゲームを作れたら・・・」と目標にしているゲームがある。


それは自分の好きなジャンル(端的に言えばSTG)に限定したものではなく、
キャラや演出が好きとか、単に至極気に入っていると言うレベルではなく、


『ゲームとして完璧』だと言いたくなってしまう様な隙の無い(個人の感想です)、
ゲームとしてのルールと秩序がゲーム世界を完全にコントロールしている様な
言わば体系として見事なまでに遊びが調和を成すゲーム。
そう言ったものに最大限のリスペクトを抱いているわけです。


その一つが・・・バルーンファイトです。





このゲームはファミコン初期のソフトでゲームのサイズも非常に小さく、
複雑なルールを持たない極めてシンプルなゲームですがそれ故に無駄がなく
プレイヤーはただただゲームを進めることのみに集中できる。


ステージをクリアするには画面内の敵を全て倒せばいいのですが
その倒し方にも特徴があり先ず「敵の風船を頭上からの体当たりで割り」、
更に「落下中の敵のパラシュートを上から踏みつける」か
「着地後の敵が再び風船を膨らませる前に蹴り落とす」の大きく二つ。


ステージ開始直後、敵は風船を持っていないので膨らませる前に強襲し、
速攻で撃破してしまうことも可能。


またステージ中央には池があるのですが敵が着地出来ずここに落ちても
撃破扱いになります。稀に落下中の敵が池から飛び出てくる巨大魚に
食べられてしまうこともあります。


シンプルですがゲーム中に起きるハプニングは意外と多く、
2人同時プレイも可能な為同じステージでも毎回同じ展開になるとは限らない
奥深く、意外性のある展開を楽しむことが出来るのです。


また簡易ですがキャラクターの動作には物理制御が適応されており
敵や床・壁などにぶつかったときの跳ね返りや上昇・下降動作の緩急、
地面を走った後のすべり停止など、プログラミング技術も非常に高く、
その技術の高さから来るであろう操作性の良さもこのゲームの心地よさに
直結する、まさにパーフェクトなゲームだと、言えるのではないでしょうか?


また、バルーンファイトにはアーケードVSシステム版も存在しますが
最高のオマケである『バルーントリップ』はファミコン版にしかありません。
左方向にスクロールしていく障害物だらけのコースを可能な限り長い距離を飛び、
そして可能な限り沢山の風船を割ると言うだけの本編以上にシンプルな内容ですが
慣性のある動作が進行を簡単には許さず、手に汗握るプレイを余儀なくさせてくれる
ミニゲームの傑作です。


バルーンファイトは元々米ウイリアムズ社の開発したアーケードゲーム
『ジャウスト』の移植版を任天堂(開発自体はHAL研究所)が手がけていた
ことに経緯を発し、その過程で生まれたアレンジゲーム・・・とでも言うべき
タイトルですが、完成したバルーンファイトは原作のジャウストを超えた
オリジナルのゲーム作品として認知され、今でも広く愛される偉大なる
クラシックゲームの一つでしょう。


リスペクト・ゲーム。
永遠に色あせることの無い、素晴らしき輝き。
その輝きを忘れぬように・・・。






バルーンファイトプログラマーでもあった任天堂社長の岩田聡氏が
2015年7月11日にお亡くなりになりました。
心よりご冥福をお祈りいたします。