うまくはいかないものだ

ここ1週間ばかり平熱だったことが無い。
歯茎が痛い・・・のかと思ったら歯が痛い。
指先で触ってみたら歯に横穴が空いていた。

奥歯の神経を抜いてしまっているので
周辺が少し腫れたくらいでは痛くもカユくも無いから
気付いたときには状態が悪化してしまっていることが多い。

ああ・・・最悪だ。
管理が悪かったのだから自業自得だけれど
現状は気分として最悪だ。

だが、幸いにして火曜日は休みじゃないか。
その日に歯医者に行って治療を受ければ何も問題は無い。

ジンジンと熱を持つ歯茎を少しばかり乱暴に歯ブラシでこすり血を絞り出す。
トドメとばかりにマウスウオッシャーで毒消し。
大丈夫だ、もうすぐ開放される。

火曜日の朝。
なんともない方の歯でいつものミューズリーをぎこちなく噛み砕き、
この不便から開放される翌日に胸膨らませる。

歯医者に予約の電話を入れる。
一応診察券を確認した・・・休診日は水曜日、大丈夫だ。

・・・が、しかしいつもならば直ぐにつながるはずの電話がつながらない。
数秒待って、つながったと思ったらその声は受付の女性の声ではなく男の声。
先生の声だ。

診療開始直後だから自分で電話に出たのだろうかと思ったら録音だった。
「本日、システムメンテナンスに付き休診となっております・・・」

ああ・・・最悪だ。これこそ最悪だ。
ちょっと待ってくれ・・・？いや、これ最悪じゃね？

水曜日は休診日だ。少なくとも明日治療してもらうのは無理だ。
明後日に予約が入れられれば良いが2日も休診した後ならば予約が埋まっていて
診て貰えるかどうか分らない。

しかもシステムメンテナンスと言うのが初耳だ。
これは1日・2日で終わるものなのか？

もし1週間くらい続くものであったならば・・・いや考えたくもない。

とにかく現状を知るために午後、直接歯医者に行ってみることにした。
体調はこれまた最悪。体温37.5度、歯痛は無いがガンガンと頭痛がする。

歯医者の入っている建物の階段に今月の休診日を記したカレンダーがあった。
「休診日・・・火水・・・水木・・・火水・・・」

知らないうちに週2回休みになっていたようだ。
先生も段々とお年を召されてきたからな・・・無理もないか。

患者はついつい自分が苦しみから解放されたいがばかりに
一日でも早く、一刻も早く・・・とせっついてしまいがちだが
医者にだって都合はあるのだ。

最近は歯医者も不景気だと聞く。
もしかしたら月の診療回数を減らしてコストカットを図っているのかも知れぬ。

帰り道、そんなことを考えながらガックリと項垂れていた。
頭が重い。体も重い。そしてそれは『気分のせい』などではない・・・。

解決出来ぬ問題がはっきりと目の前にある。
だがしかし、どうにも出来ぬ。

ああ・・・うまくはいかないものだ・・・。