暴力を嫌う人達の手を汚さない正義
それが「特に何もしないけどSNSなどで声をあげる」だ。
目の前で人が命を落としかけている。
「暴力はいけない」「こんな行為を許してはいけない」
・・・そう声をあげる。
飛び出していって、かかえて逃げたり暴漢を押さえ込んだりはせず、
駄目だ駄目だと騒ぐ。
まるでヒーローショーの観客だ。
舞台の袖からヒーローが飛び出してきて万事解決してくれるのを
ただ待っている、そんな印象だ。
暴力を嫌うのは悪を憎む気持ちではなく、
自分の身を危険に晒されたくないと言う感情からのみだ。
誰かを守るのではなく、自分を守りたい。
当然の防衛本能ではあるが僕らが子供の頃見ていたヒーロー達は
みんな危険を顧みず自身の身を犠牲に戦ってきた。
そんなヒーロー達の精神は気高く尊いが、今の時代ならば
ヒーローの労働環境について批判されるのだろう。
現実の世界にヒーローが居たとしても、きっと彼らは高い給料など
貰ってはいない。
戦わない人達が自分の権利を主張し自分だけの身を守る。
手は汚さないし余計な金も払わない。
SNSにはぶちまけてフォロワーを増やす事にも余念が無い。
助けてくれる筈のヒーローは年々廃業していく事だろう。
戦わない人達だけが生き残る。