カベジマ研究所2

Legasyswareのゲーム開発と日常をゆるく適当に綴っていくブログ

本気と書いて"メガ"と読む。

確か88年の12月だったと思う。メガドライブを手に入れたのは。

おそ松くんとスーパーリーグ以外のメガドライブソフトは全部買っていた。

 

セガマーク3を愛用していた自分はセガの新ハード『メガドライブ』を

心待ちにしていたのだ。

 

アーケードゲームと同じCPU、モトローラ68000を搭載しているので

これまでよりも忠実なアーケードゲームの移植が可能になる・・・

雑誌のインタビューで広報の方(だと思う)がアピールしていた。

 

そしていよいよ買って来たメガドライブ本体とソフト3本、

言うまでもなく、スペースハリアー2とスーパーサンダーブレード

そして獣王記だ。起動すればそこにはゲームセンターと同じ体験が

待っていると信じていたのだ。

 

一通りのゲームを遊んで私がどんな気持ちだったか理解出来ようか?

 

マーク3よりは遥かに豪華な内容だ。でも・・・アーケードに忠実?

マーク3の頃と何も変わっていないじゃないか!?

会社の事情でそれなりの内容にしか出来なかった頃の移植と何も

変わっていないじゃないか!?

 

マーク3で人気を博したアレックスキッドの続編・・・

体感RPGなど呼ばれた意欲作ファンタシースターの続編・・・

 

どれも「諸般の事情によりこうなった」と言わんばかりの出来で

申し訳ないが本気度を感じる物は一つも無かった。

(スーパー大戦略は結構楽しめたけれどセガと言えばのゲームでは無いし)

 

そんな折に登場したのがサードパーティーの参入第一作目である、

サンダーフォース2MDだ。

 

雑誌記事では当初X68000版の画面写真しか掲載されてなくて正直

「これもどうせ再現出来ていないんだろう・・・」と高をくくっていた。

 

セガ自身が本気で取り組んではいないのに、他がどうして本気の物を

持って来れる・・・?

 

何はともあれ、純粋なシューティングゲームに飢えていた自分は

サンダーフォース2MDを発売日に買いに行ったのだ。

 

そして驚くわけだ。

グラフィックス凄いじゃないか!音楽凄いじゃないか!音声凄いじゃないか!

処理も高速だしボリュームもしっかりとある!!そしてなにより面白い!!

 

佐世保の一ソフトメーカーが作ったゲームが大手であるセガのゲームを

遥かに凌ぐ内容である事に、その本気度の差に驚いたのだ。

 

メガドライブは当初の予定よりも半年前倒ししての発売だったと聞く。

ローンチからおよそ半年でこんな物が出てくるならば前倒ししていなければ

どのゲームももっと完成度が上がっていたかもしれない。

 

いつ頃開発が始まったのかは知らないがその裏で大魔界村が作られていた。

(同時期に中さんが開発していたと言う幻のゲーム「メタルランサー」が

お蔵入りになった背景にはサンダーフォース2MDに対する強い感情が

あったのかもしれない・・・負けられない思い)

 

北斗の拳でいよいよセガに対する不信感が強まっていた時期に大魔界村

それを払拭してくれたのは何よりの救いだった。その後セガからは多数の

アーケード移植作がリリースされ、どれもまずまずの出来栄えだった。

サードパーティと言う身近なライバルが居た事がプラスに働いたのだろう。

 

とは言えサードパーティのゲームは同89年には他、スーパーハイドライド

ヘルツォークツヴァイ、カースの3本しか出ていない辺り、セガのハードは

セガのソフトが売れるのだと言う感覚がセガの内でも外でも強かったのだと

思う。

 

その後の躍進と停滞、終幕は皆さん知るとおりだ。

 

自分はメガドライブと言うハードが、それを取りまく文化が大好きだ。

プレミア価格かどうかなんて関係ない。身近に感じるものが好きなのだ。

 

それがメガドライブでさえあれば大歓迎なのである。

 

1本のゲームの本気がその後の他の本気に伝播する。

内にも外にも本気になっちゃった人が多かった。それがメガドライブなのだ。