カベジマ研究所2

Legasyswareのゲーム開発と日常をゆるく適当に綴っていくブログ

青春兵器ナンバーワン

唐突にエージの「なんてことだああああああ!!」のセリフを
読みたくなったので衝動的に購入してしまった。



まあ・・・2巻までの間にはこのセリフは登場していないんだけど
連載開始当初から気に入っていたギャグ漫画で毎週楽しみにしてる。


この漫画の何がいいかってもうそれはキャラが立っててかつネタが
整理されているってところかな。


面白くない漫画ってネタに困るたびに使い捨ての新キャラを出してきて
最後は「アンタとはもうやってられんわ」な終わり方でお茶を濁すことが
多いけど、この漫画は一人一人のキャラを大事に扱っているので
所謂いじめられっこが居ない。


ギャグ漫画に良くあるパターンとして主人公の部屋にもう一人の主人公が
居候する・・・藤子漫画に代表されるようなコンビ漫才型がある。


このコンビが上手く機能していればいいんだけれど片方が人気が出すぎた場合
もう一人の主人公が空気と化して、最終的には出オチキャラに成り下がる
ことがある。これはイジメと言っても過言ではない。


そういう漫画の場合、徐々に人気のある使いやすいキャラばかりしか
登場しなくなり話もどんどんマンネリ化していく。結果短命に終わる。


これは最終的には構成力の問題なんだと思うけど、短期的には作者の人柄、
つまりキャラクターを大事にしているかどうかが関わってくるのだと思う。


青春兵器ナンバーワンははっきり言っておかしなキャラしか登場しないのだが
世界征服をもくろむ悪の組織から脱走してきた人間兵器と悪の組織と戦うために
結成された組織に属するエージェントの友情を描くと言う言葉の上だけで見ると
何か感動的なものもあるがその状況を主人公たちがあまりに客観的に捉えていて
自分達の物語であるのに物語に飲まれていない、踊らされていない感が実にいい。


先にあげた「なんてことだああああああ!!」もいい例で
こんな堅苦しいツッコミは他の漫画ではあまり見たことがない。


つまりネタを演じるために人格とは関係なしにセリフを読まされてるのではなく、
登場人物自身がそのときに思ったことをそのまんまセリフにしているのだ。


これは簡単に見えて実は結構難しい。
先にも書いたが構成力がないとキャラクターの役割に合わせた配役が出来ず
コントが白々しくなってしまう。このキャラクターはこういう性格・人格だから
こんな状況に置かれたらこんなことを言うしそんな行動をするだろうと言うのを
全て先読みした上でないと台本通りにネタを演じられない。


登場キャラの多くは根が真面目でお人よしなのでともすれば何事も起きず、
もし作者に構成力がなかったならば毎度ナンバーズの刺客が現れて最後腹パンチ
と言う面白みにかける展開に終始していただろう。


そこで唯一とも言えるトラブルメーカーの零一が生きてくるのだが
なんだろう?主人公でありながらこれが良い方向になんとも頼りないのである。


めちゃくちゃやりそうで・・・しない。暴れ方が・・・地味。
非常識かつデタラメな存在でありながら実は常識人だったりするのである。


同じ組織でかつての部下であるハチが登場してその傾向はより強まる。
ハチはやり手であり常識を勝つための手段として活用することが出来る。
これが実に馬鹿馬鹿しいわけでつまりギャグとしては逆引きなのである。


一発ギャグが面白いんじゃない、馬鹿馬鹿しい行為を本人達は大真面目に
やっている・・・それを俯瞰する視点が読者と演じているキャラクター自身に
共通しものすごくライブ感があるのだ。


長くなってしまうのでこの辺で結ぶけどゴローと委員長の回とか教習所の回とか
傑作エピソードがいくつもある。最近は零一が告白を断る回とか悲しいシーンも
ツボでちょっと軽めのギャグを欲している人にはとってもおすすめ。


第3巻は7月発売なのだが今からもう待ち遠しい。




青春兵器ナンバーワン 作者:長谷川智広 ジャンプコミックス税込価格432円