カベジマ研究所2

Legasyswareのゲーム開発と日常をゆるく適当に綴っていくブログ

OVIVO (オヴィヴォ) レビュー

Steam Greenlightにこのゲームが登場したときから
ずっと楽しみにしていたOVIVOが先日配信開始になった。


早速購入し遊んでいるのだが期待を裏切らない素晴らしい出来。
最初は全ステージクリアしてからレビューしようと思っていたのだが
直ぐにはちょっと無理っぽい。思った以上に難易度が高いのである。
早めに誰かに勧めてみたかったのでファーストインプレッションでの
レビューとさせていただく。


ゲームルールは非常に単純明快で理にかなったもの。
白と黒のみで構成された奇妙な空間をカーソルキーでプレイヤーキャラクター
(最初はリンゴだと思っていたが頭部にアンテナのようなものが生えた生物的なもの)
を左右に動かし、スペースキーで白と黒の世界を入れ替えて進んでいく。


入れ替えるといってもトレジャー『斑鳩』のような属性の入れ替えではなく、
黒の世界は画面下側に向かって重力があり、白の世界は画面上側に向かって重力があり
スペースキーを押したときにのみ、プレイヤーキャラは白と黒の中間の状態になり
白の世界にいれば白の境界を通り抜け黒の世界に『落下』し、黒の世界にいれば
黒の境界を通り抜け白の世界に『落下』していく。


プラットフォーマー・アクションで重力が逆転して天井に足裏を付けて歩くことが
出来るゲームをよく見るがOVIVOにおける重力逆転は一瞬の視覚の混乱を伴い、
まるで騙し絵の中を旅しているような気分にさせてくれる。



分類すればOVIVOはプラットフォーマーと言えるかもしれない。
このゲームにはジャンプのアクションはなくプレイヤーができるのは
平坦な場所を水平に移動することと坂道を転がり落ちることだけだ。


すると直ぐに窪みに落ち身動きが取れなくなってしまうだろう。
そんな時にスペースキーを押せば白と黒の上下世界が入れ替わり
今まで何もない空間だった場所は床や壁としての性格が与えられ逆に今まで
床や壁だった場所は自由に通過できる空間に変る。


こうして白と黒(上と下)を交互に入れ替えながら進むのであるが
そんな単調なゲームではなかった。


最初にトレーラーを見たときは、ゲームに大きく分けて静と動があるとしたら
OVIVOは確実に『静』だろうと思っていたが、実際には『動』のゲームだった。


単に上下の重力と床と壁の関係が入れ替わるだけならば進み方次第で
どこかで進行不能になって終わる。けれどこのゲームは物理演算で動作しており
白世界での落下は黒世界での上昇を意味している。


つまり白世界で坂道を転がり落ちる運動エネルギーを黒世界に持ち込めば、
勢いを大ジャンプに転換できる。これを利用して振り子のように黒と白を交互に
行き来していけばフラッピーバードのようなふらふらとした軌跡を描いて飛ぶ
ワンキーゲームの様相を呈してくるし、坂の頂上から一気に駆け下り、
衝突する寸前で白と黒を入れ替えてそのまま飛べばスーパーマリオのような
プラットフォーマー・アクションの様相を呈し、静でありながら動と言う、
相反するものが背中合わせで同居する世界をここに作り出しているのである。


背景となる白黒のアートも美しい。幾何学的な模様もあればインクドローの
イラストのような背景もある。アンビエントサウンドも素晴らしい。


一つ不満があるとすればこのゲームの全てを攻略するには相当根気が要るであろうことだ。


こんな素敵な世界ならばのんびりといつまでも滑走していたかったのだが、
この世界には上にも下にも奈落があり、そしてあちらこちらには棘がある。
生と死もまた、スペースキー一つ隔てて隣り合わせなのである。


"美しいゲーム"の一言では結ばせてもらえない厳しさが同居する
それがOVIVOの魅力なのである。


OVIVOを開発したロシア/サンクトペテルブルグディベロッパーIzHardのホームページ
http://izhard.ru/



※追記:他のブロガー・ライターの方のOVIVOのレビューが気になったので
検索したら頻繁に「私はロボットではありません」を引き当ててしまい
ものすごく残念な気持ちになってしまった。なんだか風当たりが厳しい。