カベジマ研究所2

Legasyswareのゲーム開発と日常をゆるく適当に綴っていくブログ

獣王記は佇む。

セガのゲームのBGMを語る時に真っ先に名が挙がるのが・・・

アウトランであり、アフターバーナーであり、ファンタジーゾーンだろう。

 

他にもスペースハリアースーパーハングオンエンデューロレーサー

パワードリフト、ターボアウトラン、それとギャラクシーフォース

サンダーブレード・・・と多くが体感ゲームであり、通常のビデオ筐体で

遊ぶゲームのタイトルが出ることはどちらかと言えば少ない。

 

セガのゲームの中でBGMが好きなゲームがある。それが獣王記だ。

ただ、獣王記はBGMに関して語られる事が殆ど無い。

 

それはメガドライブの準ローンチタイトルであったからではないかと

自分では思っている。

 

メガドライブ版の獣王記は比較的アーケード版を再現しているのだが、

オリジナル版と比べるとBGMの迫力が劣る。

 

これは響きのクリア過ぎる音色と明らかにニュアンスの異なるスネア、

そしてティンパニ音色の貧弱さとタムタムの省略など、メガドライブ

音源の使いこなしが出来ていない初期のタイトルであるからし

しようの無い事ではあるのだが、当時の自分からすれば残念に感じた

部分ではあった。

 

アーケード版のBGMは早々にサントラ(G.S.M. SEGA1)収録されており、

セガファンであれば獣王記のBGMの良さは皆知っている筈なのだが、

獣王記は国内ではそれほど人気が出なかった上にメガドライブ版が

知名度が高く、「あえて聞くほどではない」と言うような位置付けを

されているのかもしれない。

 

人が獣王記のBGMを語る時に「獣人になったときの曲が最高」などと

言われる事が多いがそれもまた、このゲームの不幸なのかもしれない。

皆ノリの良い曲が好きだ。

 

しかし獣王記のメインテーマと呼べる曲はステージ1で流れるあの曲だ。

その他にもステージ曲は2曲あり、どれも重苦しい曲調である。

ボスにもエイリアンシンドロームの様な緊張感のある曲が使われている。

 

ティンパニの音色は恐らくFM音源を豪華に2チャンネル以上使用しており、

それによって迫力あるサウンドを奏でている。故にこの音が使われている

シーンではドラムスが一切入らない。

 

どの曲もゲームのイメージにピタリとハマった素晴らしいものであるのに

何故にこんなにも素通りされているのか・・・?

 

それはやはりあの肩透かしのエンディングに原因があるのだろう。

同じスタッフによるゴールデンアックスでもそうだったのだが、

セガ一流の悪ふざけが過ぎたと言うか、ゲーム自体が血生臭い暴力に

満ちた世界なので最後くらいは明るく楽しく終わりたいと言うような

意図があったのかもしれないが、結果として「刺さらなかった」のだ。

 

ゲームのBGMが語られる時・・・それはそのゲーム自体がどれだけ

好かれていたかを知る瞬間でもある。

 

ゲームが良くても、BGMが良くても、そのゲームがあまり語られて

いないならば、そのゲームを愛した人の数はさして多くは無かったのだ。