カベジマ研究所2

Legasyswareのゲーム開発と日常をゆるく適当に綴っていくブログ

大逆転裁判2 クリア後感想

8月3日についに発売となった『大逆転裁判2』、
早期購入特典の「遊べる大逆転物語」含め全てクリアしたので感想を残そうと思う。



2年前に発売されている前作ではシナリオボリュームの物足りなさや
スムーズとは言えない倫敦法廷での進行、そして解明されない多くの謎など
ユーザー視点で不満の残る内容ではあったものの、今後のシリーズ展開も
おおいに期待できるかけ出しの良作であった。


そしてその続編となる大逆転裁判2は前作での不満点を軒並み解消し、
正に大逆転の出来栄えとなっていた。


感想なのでその一文でもう十分な気もしなくもないが、少しだけ触れてみる。
大逆転裁判シリーズのネタバレも含むかもしれないのでご注意を)




大逆転裁判2 -成歩堂龍ノ介の覺悟-』


前作で解明されなかった謎『ジェゼール・ブレット』『亜双義一真』『4つの署名』
バロック・バンジークス』『ホームズの相棒』『アイリスの両親』などに関する
残された疑問は全て解き明かされる。


正直今後のシリーズ展開を考えたならば少々解き明かされ過ぎなのではないかなど
余計な詮索もしてしまった程である。
(前作ではかなり厳しい意見をぶつけている人もいたので、それらに対する巧舟
執念のようなものも感じる)


お馴染みの法廷パートも進行は大分スリム化されていてストレスなく進むのだが、
ゲームシステム自体は前作を完全に踏襲している。


同じルール、同じ演出を再び採用したのは舞台や時代が前作と変らないからだとか、
前作の流用で作られているからだとか、その様なありきたりの理由からではなく、


前作の謂れなき悪評を覆してやろうとでも言わんがばかりの制作陣の強い思いが
変えさせられることを拒んだのではないか・・・など感じた。


否定的な意見の多かった陪審員制の裁判も確実に面白くなっている。
前作では記号に過ぎなかった・・・は言い過ぎかもしれないが、描写がぞんざいだった
陪審員一人一人にユニークで魅力的なセリフを与えることによりキャラクターが立ち、
劇中における役割も増し、同じ法廷に臨む一員として愛着が持てるようになった。


前作では事件の結末に釈然としない(科学捜査が行えない為に立証出来ない苛立ち)
こともあったが本作ではこれまでの逆転裁判シリーズ同様に決定的な証拠品により
事件はきっちりと解決する。


一見強引な関連付けとも思える推測も新たな事実が判明するたびに「これしかない」
と確信が深まっていく丁寧で論理的な展開は初期逆転裁判シリーズを思い起こさせる。


そしてプロフェッサー事件を中心に据えたメインストーリーも複雑怪奇で面白い。
誰が黒幕なのかは・・・誰しもが容易に想像出来るだろう。


けれど事件の全体像は最後の最後まで巧みに包み隠され、誰が共謀者なのかが
判明するまで裁判の行方もまるで分らずラストまで緊張感が持続する展開に
思わず唸ってしまった。


個々のエピソードに目を向ければ第三話が大仕掛けで如何にも逆転裁判シリーズ、
と言った事件なのだが、劇中、現代的な検証が行えないことを十分に考慮した上で
トリックが構築されており、解き明かしていく過程は古典的な探偵小説にも通じ、
本作の登場人物の一人であるシャーロック・ホームズのイメージとも合致する。


前作では単なる変人にしか見えず“らしさ”をあまり感じることの出来なかった
ホームズは変人ぶりに更に磨きをかけ、大逆転裁判固有のキャラクターとして、
その魅力を存分に発揮している。


ホームズの独壇場とも言える『論理と推理の実験劇場』も基本の流れは変らないが
前作よりも幾分テンポアップしているようで、鋭すぎて安易に真実の向こう側に
突き抜けてしまうネジの外れた不思議感をストレスなく堪能できた。


今回は論理と推理の実験劇場の登場回数も多く、特に終盤でのホームズの
推理シーンは色々な意味で感動的である。
(個人的にはその前のホームズ宅でのアイリスとのシーンのオチに笑った)


メインストーリーに直結する場合が多いので登場人物に関しては触れずに結ぶが、
肝心の倫敦っぽさはあまり感じられないかもしれないが物語も謎解きもとても面白く
大逆転裁判2は個人的には傑作であると思った。


前作をプレイしたのであれば是非、プレイしていないならば前作とセットで
購入して遊んでみてほしい。おすすめです。